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【中小企業向け】賃金規程とは?作成方法や記載内容について解説

就業規則給与計算
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

中小企業経営者向け 賃金規程の作成方法と注意点 就業規則(賃金規程)を解説します。賃金規程に問題を抱える経営者必見!賃金規程において、なぜ役職手当や資格手当などの手当について具体的に記載しなければならないか、その理由も詳細に解説していきます。

賃金規程とは?

就業規則と賃金規程の違いは?

就業規則とは、会社と労働者の間で定める労働条件や職場のルールをまとめたもので、常時10人以上の従業員がいる企業には作成義務があります。
これには労働時間、休憩時間、休日、賃金の計算方法や支払い方法などが含まれます。
一方、賃金規程は就業規則の一部として、賃金に関する具体的なルールを定めたもので、賃金の計算方法や支払い方法、賃金の締め日と支払日などを規定します。
就業規則に賃金に関する必要な事項が定められていれば、賃金規程を別途作成する必要はありませんが、企業の実態に応じて細かく規定するため、別規程として作成することをお勧めします。

賃金規程作成が必要な理由

賃金規程は、労働基準法第89条に基づき、企業が従業員に支払う給与のルールを明確にするために作成が求められます。特に、賃金の決定方法や計算方法、支払日、昇給の基準などを詳細に規定します。これにより、従業員が安心して働ける環境を整え、労使間のトラブルを防止します。
給与に関する細かなルールは、就業規則だけでなく、別途賃金規程を設けることで、賃金に関する詳細な取り決めがしやすくなります。

絶対的記載事項・相対的記載事項とは?

賃金規程には、法律で必ず書かなければならないこと(絶対的記載事項)と、必要な場合だけ書くこと(相対的記載事項)があります。
絶対的記載事項には、賃金の決定、計算および支払方法、賃金の締切りおよび支払時期、昇給に関する事項が含まれます。
具体的には、基本給や手当の決定方法、時給や月給などの計算方法、賃金の支払日や支払方法(現金か振込か)、昇給の基準や時期、欠勤や遅刻・早退・残業手当の計算方法、育児休暇や介護休暇の取得時の賃金取り扱い、中途入社社員の日割り賃金計算方法を明記する必要があります。
相対的記載事項には、退職金、賞与(ボーナス)、最低賃金額などがあり、これらは制度がある場合にのみ記載します。
退職金制度がある場合は、支給対象、決定方法、支払い方法、不支給や減額の条件を規定します。賞与については支給基準や時期、最低賃金については会社が定めた最低賃金額を明記します。

内容
絶対的記載事項賃金の決定および計算方法・適用範囲(正社員のみ?)
・賃金の構成(基本給・手当など)
・基本給、諸手当の金額の決定方法
・時間外、休日、深夜などの割増賃金の計算方法
・給与から控除するもの
・遅刻早退、欠勤、中途入退社時の計算方法
支払の方法・月給制?日給制?時給制?
締切および支払の時期・賃金締め日支払日
昇給に関する事項・定期昇給の改定月
・昇給の条件
相対的記載事項臨時の賃金・賞与の支給月
・賞与の評価期間、評価方法
・賞与の対象者退職金
最低賃金額・事業場で定めた最低賃金

賃金規程の作成手順

STEP 1:雇用形態の整理  
まず、正社員やパートタイマーなど、会社内の各雇用形態を明確にします。

STEP 2:給与の締め日と支払日の決定  
次に、給与の計算期間の締め日と支払日を具体的に定めます。

STEP 3: 手当の決定  
各種手当(住宅手当や家族手当など)を決めます。

STEP 4: 欠勤・遅刻・早退時の計算方法の設定  
欠勤や遅刻、早退時の給与控除の計算方法を決定します。

STEP 5: 特殊ケースの計算方法の設定  
給与計算期間中の入社や退職、休職や復職、休業や復帰などのケースについての計算方法を決めます。

STEP 6: その他記載項目の確認  
その他記載項目を確認します。この際、必須項目(絶対的必要記載事項)と、必要に応じて記載する項目(相対的必要記載事項)を確認し、記載漏れがないようにします。
草案をまとめたら、内容を最終確認し、賃金規程を完成させます。

トラブルを防ぐために。賃金規程作成の注意点

会社と従業員とのトラブルを防ぐために、賃金規程を作成する際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります

賃金支払いの5原則

賃金支払いの5原則は、労働基準法24条に、定められています。記載漏れがないように注意しましょう。

賃金支払いの5原則について簡単に説明します。

①通貨払いの原則
賃金は現金で支払わなければなりません。
ただし、労働者が合意する場合は、本人名義の銀行口座に振り込むなども認められます。これにより、現物給与のように換金が困難な形で支払いが禁止され、労働者の権利が保護されています。

②直接支払いの原則
賃金は労働者本人に直接支払う必要があります。代理人への支払いは禁止されており、未成年者であっても親が代わりに賃金を受け取ることはできません。

③全額払いの原則
労働者が受け取るべき賃金は全額支払われなければならず、社会保険料や税金以外を一方的に賃金を差し引くことは認められません。

④毎月1回以上の支払いの原則
賃金は最低でも毎月1回支払う必要があります。例えば年俸制の従業員に対しても、1年間の年額をそのまま払うのではなく、年間の賃金を12分割して月ごとに支払ったりする必要があります。

⑤定期日払いの原則
賃金支払いの日付は一定の期日を定める必要があります。
たとえば、「毎月25日払い」などのように具体的な日付を設定し、定期的に支払いを行うことが求められます。

参考:厚生労働省 兵庫労働局「賃金支払いの原則について」

雇用形態別の賃金規程

雇用形態別に賃金規程を作成することも重要です。正社員、パートタイマー、契約社員など、異なる雇用形態ごとに賃金条件を明確にし、誤解やトラブルを防ぎます。
特に、同一労働同一賃金の原則を守り、同じ仕事をする従業員に対して公正な待遇を提供するようにしましょう。

各種手当の設計

役職手当や管理職手当、資格手当、マイカー通勤手当などの各種手当についても、適正な基準を設け、透明性を保つことが必要です。
最低賃金額の遵守も忘れず、手当や賞与支給に差を設ける際には、その合理性を説明できるようにしておきましょう。

労働基準監督署への届出

賃金規程を作成または変更する際には、速やかに労働基準監督署に届け出ることが求められます。提出する書類には、作成した賃金規程の他に、労働者代表に記載してもらった意見書が必要になります。
届出を怠ると、労働基準法違反となり、罰則が科される可能性がありますし、また、労働者が要求するトラブルが発生するリスクも生じます。

十分な従業員説明

賃金規程の変更は、企業運営における重要な決定事項であり、従業員の生活に直接影響を与えます。
そのため、変更内容について従業員に対して詳細に説明し、理解を得ることが求められます。
特に、不利益変更されている場合は、労働者や労働組合との協議を通じて同意を得る努力が求められます。

制度変更や法改正の都度の見直し

手当の増減、見直しなどのルールの変更や、法改正が行われるたびに賃金規程の見直しを行うことが重要です。
特に、不利益な変更を実施する場合は、賃金規程の変更が遅れることで、いくら事前に口頭で説明していても、変更が認められない可能性があります。

よくある質問

賃金規程に、役職手当や、資格手当などの手当について具体的に記載しなければならないか?

賃金規程に役職手当や資格手当の具体的な金額を記載する義務は法律上ありませんが、実際には明確に記載されていることが推奨されます。
その理由は、社員が自分の給与を把握できるため、モチベーションが向上するためです。
また、職種や資格の対象者が発生する度に金額を判断する手間を省くことができます。
加えて、人によって手当の金額が異なる場合、その違いを合理的に説明できないとトラブルに発展する可能性があるからです。

役職手当はどのように記載したらいい?

例1:具体的な役職名や手当額を明記
役職手当は、下記の役職者に対して、その役割の責任及び業務量に応じ、次のとおり支給する。
部長 10万円
課長 7万円
係長 3万円
主任 1万円

例2:役職手当の定義だけを明記
役職手当は、会社の役職者に対し、支給する

資格手当はどのように記載したらいい?

例1:具体的な資格名や手当額を明記
資格手当は、下記の資格を保有している従業員に対し、支給する。
社会保険労務士    10,000円
税理士        30,000円
建築士1級       30,000円

例2:資格手当の定義だけを明記
資格手当は、会社が業務に従事し有用と認めた資格を保持している従業員に対し、支給する。

記載例ごとの会社のメリット・デメリットとは?

メリットデメリット
具体的な役職・資格名や手当額を明記する方法1.どの役職になれば、どの資格を取得すれば、給与がいくら昇給するのか明確になるため、従業員の動機づけになる。

2.対象者が発生する度にいくら支給するのかを考えたり、判断する必要がなくなる。

3.支給漏れ、支給ミスなどがなくなる。
1.新しい役職手当や資格手当を設けたいと思っても、規程の変更を先に行う必要がある。
手当の定義だけを明記する方法1.新しい役職や資格に対し、手当を支給したいと思ったときに、スピーディーに対応できる。1.対象や昇給額が不明確で、従業員の動機付けが不十分。

2.金額の定め方が曖昧になり、人によって違うなど都度誰かが金額を決定しなくてはならない。

3.人によって金額が異なり、その違いについて合理的な理由がない場合、トラブル発生の可能性。

4.同一労働同一賃金で説明がしづらい。

まとめ

賃金は、従業員にとって大切な労働条件です。
最適な賃金規程をつくり、運用することで従業員のモチベーションもあがります。
しかし、規程の内容が不十分だったり、実際の運用と異なることで、従業員トラブルが生ずることもあります。
賃金規程の作成・変更をご検討の方は、是非、コステム社会保険労務士事務所の無料相談を活用ください。

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