時間給のアルバイトやパートの給与計算は、時給に労働時間を掛け合わせる単純計算だけではありません。
アルバイト・パートの給与計算とは?
給与計算とは、従業員に給与を支払うために、
タイムカードなど勤怠情報をもとに計算する業務のことです。
給与計算の主な業務
①タイムカードなどから勤怠の集計 | ・労働時間の集計
・残業や休日出勤の時間計算
・遅刻や早退
・有休や忌引きなどの休暇の管理 |
②社会保険料、所得税、住民税の計算 | ・標準報酬月額の管理、標準報酬月額の変更
・保険料率の変更
・介護保険など年齢管理
・住民税の管理 |
③銀行振込 | |
④退職時手続き | ・源泉徴収票発行
・給与所得者異動届 |
給与計算の方法
1.勤怠の集計 | ①所定労働時間の集計
・スケジュール予定表、タイムカードなどを基に 労働時間の集計を行います。
②有給休暇など休暇時間の集計
・有給休暇、忌引休暇などの休暇の時間の集計を行います。
③時間外時間、休日労働時間、深夜労働時間の集計
・割増の対象になる時間外時間、休日労働時間、深夜労働時間の集計を
行います。 |
2.総支給額の計算 | 1で計算した時間数を基に、総支給額の計算を実施します。 |
3.手取り金額の計算 | ・社会保険料
・所得税
・住民税
を計算します。 |
4.振込・給与明細の準備 | |
気をつけたい給与計算ミス。上場企業でも給与計算のミスが発生
間違えずに出来て当たり前と思われる給与計算。
担当者が気をつけても、ミスが発生することがあります。
上場企業でもミスは発生していて、
2019年12月大手コンビニチェーンが2001年に残業手当の計算式の設定を誤って、
従業員の残業手当の一部が支払われていなかったと発表がありました。
給与計算の間違えやすいポイント?
時間外時間の集計 | ・アルバイト・パートに時間外はないと思っている。
アルバイト・パートでも時間外時間が発生することがあります。
・1日の労働時間が8時間を超える時間しか集計してしない。
・労働時間制の違いによって、
どの時間が時間外時間に該当するのかを間違っている。
・変形労働時間制の要件を満たしていない。 スケジュールの公表や休日の変更など要件を満たしていない。
・所定外休日の時間を集計していない。など |
休日時間の集計 | ・週や月をまたいで振替をしている。
・法定休日が就業規則では決まっているのに、 運用で変えている。 |
割増賃金の単価計算 | ・昇給があったのに、割増賃金の単価を変えていない。
・特定の手当を、割増賃金の単価から除外し、
計算していない。
・給与制度が時給なのに、特定の手当が月給。
単価の計算に含まれていない。 |
住民税の計算 | ●月分を間違えている。管理出来ていない。
特別徴収していない。 |
社会保険料の計算 | ・何月分の社会保険料か管理できていない。
・昇給や、新しい手当が出来たのに、月額変更届を提出していない。
・標準報酬月額の変更を忘れている。
・保険料率の変更を忘れている。
・40歳になったのに、介護保険料の控除をしていない。など |
労災事故で休業 | ・アルバイト・パートには休業補償が不要と思い込み、
休業補償が払われていない。 |
会社都合による休業 | ・休業手当が払われていない。 |
賞与計算 | ・社会保険料を誤って計算している。 |
法改正対応 | ・法改正の情報に対応できていない。 |
現金支給 | ・1円単位で準備し、金額の過不足が発生している。 |
給与明細を紙で手渡し | ・紙の明細を準備し、封筒に書かれている名前と間違えてしまう。 |
給与計算をミスなく効率よく行うには?
- 管理表の作成
思いつきで計算をするのではなく、管理表に基づいて計算をしましょう。
毎月の実施事項はもちろん、月ごとで必要な作業、入退社での注意点、
変更事由による対応、産休育休者の管理など網羅した表を作成しましょう。
- ファイルの保存場所
標準報酬月額の公文書や、入退社の情報などをどこに保存するのか?を決めましょう。
- 複雑なルールにしない。
規模が小さい会社ほど、人によってルールの数を増やし、複雑になっているケースがあります。
- 勤怠の締め日と支払日に余裕を設ける。
GW、お盆、年末年始など長期の休日がある月の事も考え、
出来るだけ長く締め日と支払日の日数を設けましょう。理想は20日。
- 就業規則、賃金規程の整備
アルバイト・パートの就業規則を作成しなかったり、詳しく書かれていなかったり、
メンテナンスしていなくて、実態と異なる就業規則、賃金規程を拝見することがあります。
今の会社の内容に対応し、かつ決めなくてはいけないルールを盛り込んだ
内容の規程を準備しましょう。
- クラウド勤怠管理システムの導入
タイムカードを手で集計したり、Excelで集計するとミスが発生しやすいです。
クラウド勤怠管理システムを導入し、自動的に時間集計できるようにしましょう。
- WEB明細の導入
給与明細をいつでも従業員がPCやスマホ、携帯で見えるWEB明細を導入し、
明細の受け渡しミスを防ぎましょう。
- 給与は振込で。現金支給を辞める。
それでもミスが発生してしまったときの対応
- 修正額の計算を実施、直近の支払で修正
ミスが発生した場合、実際の修正額の計算を実施しましょう。
- ミスの原因を探求
どうしてミスが発生したのか?原因を探求します。
- 管理表の修正
管理表でミスを防げなかったのはなぜか?管理表の内容を見直します。